人事・労務管理のエキスパート |
人との信頼関係を築くには時間がかかります。
あなたにとって、信頼関係を築くということはどんなことですか?
私にとっては、相手とのOK/OKのポジションをより多く持つことです。
交流分析の考え方に「ライフポジション」があります。
それは、自分と他者に対する捉え方の傾向を表したものです。
例えば、何か問題が起こったときに、人がとるスタンスも色々ありますよね。
○相手と自分で納得いくような解決策を探る
○自分を責めて、我慢する
○相手を責めて、相手を変えようとする
○自分も相手も解決できないと諦める、問題を見ないようにする
自分に対しての捉え方が肯定的か否定的か、相手に対しての態度が肯定的か否定的か、人はその時の状況や相手により、ライフポジションを変えながら対処しています。フランクリン・アーンストはOK牧場の図として、4つのポジションに分けて、表しました。
牧草地で牛は草を求めて移動します。その様子になぞらえて、OK牧場の図と呼ばれています。今回は、アーンストの図にBCBの青(建設的)と赤(非建設的)の色を加えて図にしてみました。
私もあなたもOK
私はOKではないが、
あなたはOK
私はOKだが、
あなたはOKでない
私もあなたもOKでない
OKとはどのような意味でしょうか。
OKとnot OKの具体的な例をあげてみます。
OK ⇔ not OK
「認められている」 ⇔ 「認められない」
「優れている」 ⇔ 「劣っている」
「良い」 ⇔ 「悪い」
「強い」 ⇔ 「弱い」
「豊か」 ⇔ 「貧しい」
「正しい」 ⇔ 「間違っている」
「能力がある」 ⇔ 「能力がない」
「快」 ⇔ 「不快」
「成功」 ⇔ 「失敗」
「建設的」 ⇔ 「非建設的」
など、様々な例があげられます。
「認められている」 ⇔ 「認められない」を例にとると、
自分と相手の否定的な側面も肯定的な側面も認め合う I am OK / You are OK
相手に認められるために自分を偽る I'm not OK/You are OK
自分にとって都合の良い相手は認め、都合の悪い相手を認めない I am OK / You are not OK
自分と相手の肯定的な側面を認めない I'm not OK/You are not OK
といったところでしょうか。
こうして、記事を書きながら、今の私のライフポジションを意識すると、
「この記事を読んでくださった方にお役に立つと嬉しい」と思いながら書いているときは、OK/OK。
「こんな書き方でいいのだろうか?文章書くのは苦手だから。」など、心配な気持ちや、苦手意識が出てくるときはI'm not OKのポジションをとっています。同じ作業をしていても、時によってポジションが移り変わります。
別の例をあげます。
遠くで一人暮らしをしている母から、晩方に電話がかかってきました。
最初の20分 OK/OK
元気そうで良かった。
なかなか会えないので、色々話を聞こうと、楽しく会話が弾みます。
次の10分 I'm not OK / You are OK
そろそろ夕飯の支度にかかりたいし、ワンコ達もおなかをすかせて待っている。
でも、母ももっと話したいのだろうから、もう少し聞こう。
我慢の気持ちが出てくる。
次の10分 I'm OK / You are not OK
「忙しいのに悪いわね。」と言いながらも一向に話をやめる気配なし。
どうでもいいような内容が増えてきた。だんだんいい加減な返事をするようになる。
こちらの都合ももう少し考えて欲しいというイラっとした気持ちが出てくる。
ここで赤信号点滅
このまま進んで、レッドゾーンに突入してはまずいと気がつき、
「話は尽きないけど、ワンコたちがおなかをすかせて、もう30分も足元でじーっと待ってる(ちょっぴり盛ってる)ので、そろそろご飯の支度はじめるね。また電話するね。じゃーね、おやすみなさ〜い。」と、穏便(ちょっと無理があったかも)に話を切り上げることができました。ひゅーっ(^0^;)危うくレッドゾーンに足を踏み入れるとこでした。
自分のライフポジション、意識はしていても、なかなかその場で気がつくのは難しいものです。
人との関わりの中で、何かイヤな感じがしたとき、今ここの自分のライフポジションがわかるといいですね。解決の糸口が見つかるかもしれません。温度計のように、一目でわかるライフポジション測定器なんてあったらいいのかな?胸元のカラータイマーがピコピコと色が変わるような。いやいや自分でも計りかねる自分のこころ、機械に計られてはたまりません。自分自身で気づいていたいです。
4つのポジションのうち、あなたはどのポジションが居心地良く感じるでしょう?私は、誰もがOK/OKのポジションを目指すべきだとは言いません。不思議なもので、人によって幼い頃から馴染みのポジションがあり、誰でもOK/OKが居心地良いとはいえないのです。
先ほども「認められる」か「認められない」の例で書いたように、相手と自分の肯定的&否定的な両方の部分も認め合うのは、楽な事ばかりではありません。ですから、馴染みのポジションから、無理して移動しなくてもイイじゃないか、という意見も、否定はしません。
ただ、せっかく築いた人間関係を保てなかったり、壊してしまうような事を繰り返し、こころから信頼できる人が周囲に居ないと感じる方は、もしかしたら、馴染みのポジションがピンクかレッドで、その場に留まる時間が長いのかもしれません。
自分の力で気づいて行動するのは容易では無いかもしれませんが、その人がOK/OKでありたいと望むのであれば、馴染みのポジションから移動することは可能ですし、OK/OKのポジションで、心地よい時間をより長く過ごす事もできるのです。自分の馴染みのポジションに気づくきっかけや、ポジション移動のお手伝いが必要な時は、お声がけください。
新しい年、誰と出会い、どのようなOK/OKの関係が築けるのか、楽しみです。
2019年1月
大林 田園子
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